【後味の悪い話】森雅之の短編

275 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/27(土) 01:53:54
森雅之の短編
少年は道端に捨てられている子犬を見つけた。
説得の末に飼うことを親に許され、子犬との生活がはじまった。
子犬はあっという間に大きくなっていった。
犬の成長を喜び、毎日のように少年は犬と遊び転げた。
犬は少年にとってなによりも大切な存在になった。
だが、すっかり成長しきった犬は、今度は老いて徐々に衰えてきた。
少年は看病し続けたが、ふと気づいた時には犬はこと切れていた。




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少年は泣きながら目覚めた。
犬を弔わねばと、母に犬はどこにいるのかと聞いた。
母は首をかしげた。なんの話をしているのかと。
犬を拾ったのも犬が死んだことも、すべては長い夢でしかなかった。

しばらくの間、少年は夢の中の犬の死と、
そもそも犬が現実に存在すらしていなかったこととを悲しんだ。
だが時が経つにつれて夢は夢だったと思えるようになり、
こんな夢を見たのだと人に笑って話せるまでになった。

数年経ち、小学生だった少年は高校生ぐらいになった。
友人が、昔飼っていたという犬の話をしてきた。
「俺も犬飼ってたことがあってさ・・・」
少年は自然とそう言いかけて、口をつぐんだ。
あれはただの夢だったのに、そう思いながらも少年は犬の死を思い出して涙を流した。

 
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