ぱあっと笑顔になった男の子が目をキラキラさせて バイオリンを手にしようとしたその時



487 名前:バイオリン 1/3 投稿日:02/12/12 20:59


かなり前にテレビで見た話。
うろ憶えなので、多少アレンジはいってます。

ある町の骨董屋。
店に並べられている骨董品の中には一挺のバイオリンがあった。

ある日、店に一人の男の子がやって来ると
店の主人に「あのバイオリン、いくらですか。」と訊いてきた。

主人が値段を言うと、男の子は「・・・全然足りないや。」と
うつむいてがっかりした様子だったが、
顔を上げると「お金もって、また来ます。」と言って帰っていった。

数日後。

主人は男の子が新聞配達のバイトを始めたことを偶然知る。
男の子は、その体には大きすぎる自転車に新聞を積んで坂道を登っていた。
一生懸命ペダルをこぐ男の子の姿を、主人はじっと見つめていた。







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488 名前:バイオリン 2/3 投稿日:02/12/12 21:00


それからしばらくたったある日。

主人がいつものように店番をしていると、身なりのいい男性が店を訪れた。
男性は店の中の骨董をいろいろと眺めていたが、バイオリンに目を留めると
主人に向かって「あれはいくらかな。」と訊ねてきた。

主人が「いえ、あのバイオリンは・・・」と口ごもると
男性は「なんだ、売り物じゃないのかい。しかし私はあれが気に入ったんだ。
これでどうだろうか。ぜひ譲って欲しい。」と
バイオリンの値段の何倍もの額のお金を取り出し、主人の前に置いた。

主人は思いがけない金額を前にして、少しの間考えていたが、やがて
「申し訳ありません。やはりお売りするわけにはいきません。」と男性に告げた。
「やっぱりダメか。残念だが、仕方ないな。」男性はそう言うと帰っていった。





489 名前:バイオリン 3/3 投稿日:02/12/12 21:01


それから数ヵ月後。

「あのバイオリン、まだありますか?!」
新聞配達で貯めたお金を持って、男の子が店にやってきた。
しかし、店の中にバイオリンは見あたらない。
男の子がキョロキョロと店内を探していると

「待ってたよ。」
主人は男の子に微笑みかけ、あの日以来、誰にも買われないように
奥の棚にしまっておいたバイオリンを持ってくると、男の子の前に差し出した。

ぱあっと笑顔になった男の子が目をキラキラさせて、
バイオリンを手にしようとしたその時、

「   バ  キ  ン  ッ ! !  」

主人の手がバイオリンをへし折った。

呆然としている男の子に向かって、主人はうれしそうに一言。

「 これが私の楽しみ。 」




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[ 2013/08/04 21:34 ] ('A`) | TB(0) | CM(0)
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