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【後味の悪い話】イケメンの色恋沙汰の采配

667 名前:1/3 :2008/11/22(土) 20:14:26
主人公は推理小説家。
美女探偵を主人公とした連載中のシリーズとは裏腹に、本人はキモオタ寸前の外見。
事件に遭遇することの多い作家の推理の相棒は美少女アイドル。
アイドルはバカさと可愛さを売りにしているが、実は名探偵であり、主導して謎を解く。
作家はそれの手助けをしつつ、猫をかぶりたいアイドルのかわりに、皆の前で事件の真相を解く係をしている。
作家にはライバルがいる。同じミステリ誌で連載を持っている者で、
毎回行きずりの女と関係を持つ好色な探偵を主人公にしたハードボイルド小説を連載している。
作者は、自身の手がけるシリーズの主人公の生き写しのように色恋話が絶えないイケメン。
近頃イケメンがめっきり新作を出さないでいることを作家は気にしていた。

イケメンの交際相手は芸能人などの派手な人物であることが多く、自身も見映えがいいことから、
作家にしては珍しく、相手を変えるたびに盛んに週刊誌などに取り上げられていた。
しばらく前の報道によると、イケメンの交際相手の女優が、
別れ話をもちかけられたことを理由に自殺未遂したという。
イケメンは女性関係を自重しないくせに繊細で傷つきやすいところがあるので、
その事で落ち込んで執筆もできない状況なのかもしれないと作家は心配した。

久々にあったイケメンは、いつもと変わらず不敵な様子で作家を小馬鹿にするような発言をする。
執筆状況はどうかと訊くと、いきなり鬱々とし、さっぱり書けないという。
シリーズは佳境に入っているのだが、主人公をどこに落ち着かせればいいのかわからないという。
そこに現れたアイドル。イケメンはころっと躁状態になり、シリーズに実写化の話がきているので、
もしよかったら秘書役を演じないかとアイドルにもちかけた。
秘書はクールな女性で、暴走しがちな探偵のストッパー役を務めるキャラクター。
普段のアイドルの姿からはイメージがあわないし、第一アイドルはキャラ作りの一環で大根のふりをしていた。
明らかにアイドルに手を出すための口実にすぎない。そこに、女優が現れた。
ふられた後もイケメンに粘着している女優は「今度はそんなチビがいいのね」と泣き叫んで去っていった。
イケメンは慌てながら一方的にアイドルとデートの約束を取り付け、女優を追って出て行ってしまった。




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668 名前:2/3 :2008/11/22(土) 20:15:04
アイドルは女優の言葉に怒り、当てつけとして会うだけあってやんよと乗り気になってしまった。
だが、いざ店に行くと、走り書きで「やっぱり行けなくなった」との旨の書かれた紙切れを店員から渡された。
その紙の裏には、アイドルにはサッパリ意味のわからない謎の文章が一文だけ書かれていた。
作家にはすぐにその意味がわかった。イケメンの書いているシリーズの構想メモだ。
イケメンは大変なメモ魔で、ネタが浮かぶと手近なものにすぐ書き散らす癖がある。
メモの内容はシリーズの結末を示していた。二人はイケメンの家にメモを届けに行った。
だが、自室でイケメンは毒を飲んで死んでいた。自殺らしかった。
イケメンの担当編集者は言う。直前に会った時のイケメンは穏やかな様子で、
今ならシリーズを終わらせることができる、と晴れ晴れとした顔で言ったという。
イケメンは他殺されたのではないかと作家とアイドルは疑う。怪しいのは女優だ。
別れ話に納得できなかった結果、殺人に発展したのかもしれない。
でも本当に自殺かもしれないとも編集は言う。
編集とイケメンは高校時代からの知り合いで、イケメンの文才を見抜いて、
プロになれるよう舵を取ったほど、編集はイケメンの身近にいた。
だからこそ、イケメンが実は根暗であると知っており、
思いつめていたのに空元気でごまかしていたのかもしれないという。

作家に訊ねられた女優は、自分がイケメンを自殺に追いやったのだと泣きだした。
女優は他の女と違い、イケメンのうわべの華やかさではなく内面の弱さも知った上で愛していた。
だがイケメンの態度は他の女に対するものと同じで、女優を追いかけた後もやはり別れの言葉を一方的に告げてきた。
女優は泣きながら「あなたが女を捨てるのではなく、あなたの冷たさに女が離れていく 
だからあなたはいつも一人なんだ」と叫んだ。
イケメンははじめて、ひどく傷ついた悲しそうな顔を見せた。その数時間後にイケメンは死んだ。
ただでさえ女優の自殺未遂や作家業の行き詰まりに悩んでいたのに、後押ししてしまったのは自分だと女優は泣く。
態度や状況証拠から、女優は犯人ではないと二人は結論づけた。やはりイケメンは自殺したのか?
が、その後に編集が犯人だとする証拠が見つかり、
二人は編集を問いただし、編集はイケメン殺しを認めて語り出した。

669 名前:3/3 :2008/11/22(土) 20:17:18
編集は高校生の時からイケメンの才能の虜で、イケメンが良い作品を書ける環境をつくるためならと、
イケメンの色恋沙汰の采配まで買って出ていた。
だが次第に、イケメンの才能ではなくイケメン自身に恋をしていることに編集は気づいていった。
両想いになることは望まなかった。イケメンにとって恋は通り過ぎるものでしかないのだから、
すぐ捨てられる恋人という立場よりも良きアドバイザーの役に甘んじていた方が良かった。
だが、恋を失いそうになった途端に自殺未遂までするほどの女優の存在に、編集ははじめて脅威を感じた。
そして殺害の日。仕事で編集がイケメンの部屋に行くと、イケメンはいつになく爽やかな表情で、
女優に投げつけられた言葉について語り、小説の続きが書けそうだと言った。
イケメン本人は気づいていないが、編集は、シリーズの主人公である探偵はイケメン自身だと知っていた。
探偵に結末が与えられるようになった、
それはつまり、浮ついていたイケメンに確固たるものが出来たということであった。
激しく思いを向けてくる女優に、イケメンは本気で恋をするようになったのだと編集は悟った。
話をさえぎり、編集は毒入りのコーヒーを入れに行った。
(毒はイケメンが小説のネタにするためgetした除草剤かなんかだった)
イケメンが完全に誰かのものになってしまうぐらいなら、殺した方がマシだと思ったのだった。

語り終えアヒャハハ状態になる編集に、アイドルはイケメンのメモの書かれた紙切れを渡した。
「探偵、秘書と結ばれる」といったことが書かれていた。
作家は言う。
イケメンがアイドルを秘書役としてスカウトした時、むしろ編集こそが秘書のイメージにあうと思ったという。
恋の相手となることはなかったが、常に探偵を支え続けていた秘書の姿は、イケメンと編集の関係に似ていた。
イケメンは女優の言葉に確かに傷つきはしただろう。
だがその後に、沢山の女が去っていく中で、学生時代から編集だけはいつも自分を見守ってくれていたと気づき、
ただアドバイザーとして頼るだけではなく、女性として愛していることに気づいたのだった。
編集が遮った言葉の先には、愛の告白が控えられていた。
呆然とする編集を前に、すれ違わなければイケメンも探偵も幸せな道を歩めたろうに、と作家は悲しんだ。

女優が一番可哀相
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[ 2017/07/11 13:27 ] 小説 | TB(0) | CM(0)
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