【後味の悪い話】永矢洋子「猿の手」 

55 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 00:42:53
未亡人・蒔絵は、3年前、15歳の息子・聡を何者かに刺殺されていた。
殺害現場は人気がない倉庫であった為、目撃者もおらず、捜査は進展しない。
捜査本部では、敏腕刑事・緋尾が采配を振るっていたが、
一向に成果が出ず、事件は既に迷宮入りが囁かれていた。
蒔絵は緋尾のアドバイスに従い、懸賞金200万円を出して、情報提供を呼びかけたところ、
数件の重要な目撃証言が届けられた。
緋尾は早速捜査を開始した・・・。
ある日、蒔絵は聡の友人である、拓哉の母・麻由美を訪ねる。
麻由美は蒔絵とも仲が良く、聡が殺された時も何かと力になってくれていた。
麻由美に蒔絵は切り出した。
「実は・・・有力な目撃証言が出て・・・後少しで犯人が特定できそうなの」




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56 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 00:53:30
「そうなの、これで聡君の無念が晴れるわね」
麻由美はそう笑ったが内心は震え上がっていた。
実は聡を刺殺した犯人は拓哉だった。
拓哉は裏で聡をいじめており、あの日も工場跡で金をせびっていた。
しかし、いじめを教師に訴えると聡が言い出した為、激昂して刺殺したのだ。
麻由美は当初から犯人が拓哉だということを知っていたが、息子可愛さに隠匿していた。
「でもね、麻由美さん」蒔絵が続ける。
「犯人・・・未成年の可能性が高いんだって。でも、逮捕礼状が出るには後数ヶ月かかるでしょうって。
 だから捕まるころにはもう成人してるから少年法は適用されないかもね。そっちの方が嬉しいわ」
麻由美はその夜、拓哉に自首を勧めた。
どうせ捕まるなら少年法が適用される今の方が良いと考えたのである。
折りしも拓哉の18歳の誕生日は2週間後。タイムリミットは迫ってきている。
当初、自首を渋った拓哉も、自分に既に捜査の手が回っていること、
2週間以内に自首しないと成人法で裁かれ罪が重くなることを知り、慌てて警察に駆け込む。

58 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 01:04:31
間違えた。18の誕生日じゃなくて20歳の誕生日。
ちなみに事件は5年前。変なミスしてごめんなさい。
既に犯人が拓哉だと確信していた緋尾も、思わぬ自首に驚きを隠せなかった。
しかし、拓哉の自首が改心からではなく、単なる減刑目当てだということを知り落胆する。
「刑事さん、息子は20の誕生日まで2週間あります。まだ、少年法は適用されますよね?」
緋尾は顔は曇らせた。
「お母さん、残念ですが・・・少年法の適用は逮捕した日時ではなく、
起訴書類がそろった日時を基準としております。
今からどれだけ急いで書類を用意しても1ヶ月近くかかります。残念ながら20歳の誕生日までには・・・」
「そんな・・・」
絶望する拓哉と麻由美。
そこに、薄笑いを浮かべた蒔絵が現れる。
「残念ね、少年法が適用されなくて」
「あなた・・・」
「あんたの息子が犯人だなんてこと、タレコミ電話が掛かってきたときからわかってたわ。
 だって目撃証言から作成されたモンタージュがどう見ても拓哉君そっくりなんだもの」
「知ってたのね。もう自首しても少年法が適用されないってこと・・」
「そうよ、悪い」
「あなたって人は・・・」泣き崩れる麻由美。悠然と立ち去る蒔絵。

59 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 01:12:40
蒔絵、回想。
聡のことを思いながら、公園を歩いている蒔絵。
と、怪しげな男から声をかけられた。
男の名前は諸岡。颯爽とした美男子だったが目は険しかった。
諸岡は蒔絵があまりに悩んでいる風だったから声をかけたと言い、
心配事があるならこれに祈れとあるものをくれた。
それは真っ黒な指のミイラだった。
「そいつは何でも3つ願い事を叶えてくれる猿の手だ。よく考えて使うんだな」
蒔絵が顔を上げた時、諸岡は消えていた。
蒔絵は一つ目に「犯人に繋がる有力な手がかりを」と祈った。
この願いは叶い、有力な目撃証言が寄せられた。
二つ目は、「犯人とその家族が苦しみますように」と祈った。
これも叶った。少年法による減刑という目論みが崩れ去った麻由美と拓哉の嘆きようは想像以上だった。
61 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 01:28:14
「刑事さん、あの子は重罪ですよね」
喜々として緋尾に問いかける蒔絵。
緋尾はうつむいた。
「重罪は難しいです。日本の法律ですと、初犯の場合例え殺人でも刑期は短くなります。
 ましてや拓哉君は犯行当時未成年でしたし・・」
「そんな・・・死刑でも足りないのに!」
「お気持ちはわかります。・・・しかしこれが日本の司法の限界なのです」
麻由美は激怒した。散々聡をいじめ、挙句に命まで奪った拓哉をどうしても死刑にさせてやりたかった。
麻由美は猿の手に祈った。
「猿の手さん、お願いいたします。深田拓哉を死刑にして下さい!」
護送当日、拓哉は荒れていた。罪が軽くなると思ったから自首にしたのに、成人法が適用されるなんてあんまりだ。
その憎しみは麻由美、そして蒔絵に向けられた。
刑事達のひそひそ話を盗み聞きし、実はタレコミ電話自体は2ヶ月前にかかってきたもので、
その時点ですぐに拓哉が最重要参考人として捜査されていたこと、
蒔絵が少年法の適用が間に合わなくなるまで自分を泳がせていたことを知り、一層憎しみが募った。
隙を見て、脱走した拓哉は逃走途中の公園でベンチに座っていた蒔絵を見つける。
そして・・・諸悪の根源である蒔絵に襲い掛かり、石で撲殺した。
取り押さえられる拓哉。
薄れ行く意識の中で全てを悟る蒔絵。
ああ・・・猿の手はこんな形で私の願いをかなえたのね。
確かに拓哉は死刑になる。でも代償は私の命・・・。

64 名前:永矢洋子「猿の手」 :2008/09/17(水) 01:38:52
その頃、諸岡は高級マンションの一室で女と戯れていた。
諸岡の正体は関東屈指のヤクザ・諸岡組組長。
拓哉が蒔絵を殺したことをニュースで知る諸岡。
「この女・・・俺が猿の手くれてやった女じゃねぇか」
実は猿の手は諸岡の祖父が義兄弟にもらった小指。願いをかなえる力などない。
「女ってのはロクなコトね願わないな」
諸岡はテレビを消して笑った。
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[ 2017/05/15 19:57 ] 小説 | TB(0) | CM(0)
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