【後味の悪い話】鈴木光司「夢の島クルーズ」

416 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/07/15(火) 23:05:34
タイトル、作者忘れたが短編小説から
やり手の営業マン「山田(仮名)」は、高校時代の部活の先輩「田中夫妻(仮名)」から、
休日にヨットの旅をしないかと誘われて、暇だったのでOKした。
小さなヨットで近海をクルッと走って戻るというチャチな旅だが、まあ相手は先輩だし。

ところが、それはマルチ商法の勧誘だった。
田中夫妻はマルチ商法でかなり儲けていて、ヨットもそのお金で買ったらしいが、
まだまだ上を目指していたのでやり手営業マンである山田を仲間に誘い込もうとしたのだ。
狭いヨットの中、しかも海の上なんでどこにも逃げ場が無い。
これが、実は田中の得意の勧誘方法だと知った時にはもう遅かった。
二人はこの手で何人も勧誘に成功していたのだ。
夫と妻と、ステレオで勧誘攻撃を受け続け、何度もキレそうになりながらも夕方まで持ちこたえた。
とりあえず今日のところは諦める気になったらしく、港に帰ろうとする田中夫妻。
しかし山田はもうこの二人には2度と会うまいと心に決めていた。

ところが、海岸がはっきり見えてきたところでガクンと衝撃が走り、急にヨットが動かなくなる。
このまま海岸沿いに港まで行けばゴールなのに。
近くにに船の姿は無く、海岸にも人気は無い。




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417 名前:2/4 投稿日:2008/07/15(火) 23:06:45
スクリューのトラブルかと思い、スクリューを上げてみると子供用の靴が片方引っかかっていた。
アニメのキャラクターが印刷された靴で、カカトの部分に「まさひろ」と書いてある。
田中夫は何となく気味が悪いとでもいった風に顔をしかめ、靴を投げ捨てた。
しかし、やはりヨットは動かない。
エンジンを切ったり逆噴射したり、碇を上げたり下ろしたりするが、何も手ごたえが無い。
田中夫はヨットの船底のキール(横流れを防止しヨットの重心を下げる構造部材)に大きなゴミか、
あるいは放置された底引き網か何かが引っかかっているんだろうと結論付けた。
こうなると、誰かがヨットの下に潜ってそれを外してこなければならない。
まだ夏で、しかもたった数メートルのダイブとはいえ、潜水服もなく、おまけに海は真っ暗だ。
田中夫妻はチラチラと山田を見ていたが、山田はあえて知らん顔をしていた。
自分は客だし、いくら先輩でも、もはやどうでもいい人間のためにそこまでしてやることはない。

418 名前:3/4 投稿日:2008/07/15(火) 23:07:24
とうとう田中夫は覚悟を決め、海に潜ることにした。
パンツ一丁になり、ヨットの物置からロープを取り出してしっかり腰に結びつける。
そのロープを山田と田中妻が持ち、田中夫は海に飛び込んだ。
このあたりに鮫はいないだろうが、万一の時は、ロープで引っ張り上げるというわけだ。
しばらく水面に顔を出していたが、意を決して船底に潜る。
ところがすぐに激しく海中からロープが引かれ、驚いた二人は思い切りロープを引っ張り上げた。
すぐに海面に浮いてきた田中夫に手を貸してヨットに上がらせる。
数分にも満たない間に、彼の体温は極端に低下し唇は紫になっていた。
そして、ヨットの上で何度も嗚咽しながら食べたものを吐き戻す。
山田は気付けにワインを飲ませながら、タオルを何枚も肩にかけてやる。
やがて落ち着いてきたのか、田中夫は水中で何があったのかを語りはじめる。
ヨットのキールの部分に、ゴミでも底引き網でもなく、
水死した子供の腐乱死体が”ダッコちゃん人形”のようにしっかりとしがみついていたというのだ。
「子供って、案外力が強いんだなぁ…」
最後にそう締めくくった田中夫は、さっきより10歳は老けて見えた。
山田は考える。
『きっと彼は子供の靴を見て子供の水死体を連想したんだろう。だいいち、真っ暗な水中で
 そんなものが見えるはずが無い。きっと恐怖心が幻を見せたんだ。その証拠に…』
山田「その子供は、男の子だったでしょう?」
田中夫「ああ、そうだよ」
山田「それから、その子供は、片方だけ裸足じゃなかったですか?」
そう、きっとそのはずだ。だってもう片方の靴はさっき田中夫が遠くに投げ捨ててしまったのだから。
だが、返ってきた答えは違っていた。
田中夫「いや、その子は両方とも裸足だったよ」
まるでその言葉が合図だったかのように、ドンとヨットが揺れた。
揺れたというよりもまるで船底を引っ張られたような衝撃だった。

419 名前:4/4 投稿日:2008/07/15(火) 23:08:06
山田はついに覚悟を決めた。
服を脱ぎ、ロープを取り出すときに見つけた大きめなゴミ袋に貴重品と一緒に入れる。
その上から2重にゴミ袋をかぶせ、空気を入れて膨らませる。
その様子を、田中妻が優雅にワインを飲みながら眺めていた。
「やれやれ、やっとアンタも潜る気になったのねw」
この意気地なしが、といった口調だった。
何か勘違いしているようだがそれを正してやる気は無い。むしろ好都合だった。
ゴミ袋を使った「浮き輪」をもう一つ作り、海に飛び込もうとしたところで彼女は山田の意図を悟ったようだ。
あわてて手を伸ばすがもう遅い。山田はザブンと海に飛び込むと、一度振り返ってこう言った。
「あとで助けを呼んでやるから」
返事の代わりに田中妻の悲鳴が飛んできた。どうやらまたヨットが大きく揺れたらしい。
山田は2つの浮き輪を頼りに必死に泳いだ。
いつあの子供が船を諦めてこっちにしがみついてくるかと思うと気が気ではなかったが、何とか泳ぎきった。
海岸にたどり着いて、テトラポッドをよじ登っていると、ふと隙間に子供用の靴が挟まっているのが見えた。
さっき見たのと同じデザインで、おそらくスクリューに絡み付いていた靴の片割れだろう。

「なるほど、だからあの子は両足とも裸足だったんだな」

ふと沖をみると、波も穏やかなのにヨットは大きくゆれ続け、今にも沈みそうだった…

423 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/07/15(火) 23:32:12
それって鈴木光司の「夢の島クルーズ」かな。
「仄暗い水の底から」のなかの一つの短編だよね。
マルチのモデルはア○ウェイらしいよ。
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[ 2017/03/23 22:37 ] 小説 | TB(0) | CM(0)
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