440 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/12(金) 17:16:31
「狼少女」という映画
時は昭和。小学生のアキラは不思議なものに関心を持っている。
近所の神社で行われる見世物小屋に行きたくてたまらなかったが、
学校で禁止されているので叶わなかった。
見世物の一つである、狼に育てられた四足歩行の少女を是非とも見てみたかった。
アキラのクラスには小室という少女がいる。いつも同じ服を着て、髪はボサボサ。
子沢山貧乏一家の長女なため、朝夕と新聞配達をしており、そのために毎日遅刻している。
ランドセルも買ってもらえず、短すぎる鉛筆を筆箱代わりのお菓子の缶に入れて大切にしている。
犬のいる家に新聞を配りに行った小室は、盛んに吠える犬に対抗するように唸り声を上げた。
それを目撃したクラスメートは「狼少女って小室なんじゃないか?」と言いだし、小室をいじめられるように。
以前から薄汚いと馬鹿にされていたが、余計にしつこく小室は絡まれるようになった。
垢ぬけた美少女・ルミコが転校してきた。彼女は体育も勉強も得意だった。
休みの日には歌手や女優になるためのレッスンに通うため東京に行っているという。
いかにも洗練されたお嬢さまという感じで、アキラは恋心を抱いた。
ルミコは小室が馬鹿にされるたびに彼女をかばった。
小室は発育がいいのだが、忙しすぎる母親は気づかずにいてブラジャーを買ってくれないため、
体育の時はしんどそうにしていた。ルミコは小室にブラジャーをあげ、筆箱をあげた。
なにかと親切にしてくれるルミコに小室は友情を抱き、
皆の前では無口で無表情だったのだが、少しずつ笑顔を見せるようになっていった。
アキラと下校していたルミコは、竹林の中でどろまみれになって泣いている小室を見つけた。
小室を家にまで送る二人。小室の母は優しそうな人だったが、忙しさのため小室にかまう暇もないようだった。
小室をどろまみれにしたのはクラスの男子に違いないとルミコは怒り、
小室の母が頼りにできないぶん、共に小室を守るようアキラに言った。
アキラは薄汚い小室をあまり好いていなかったが、ルミコの傍にいる機会が増えるならと承諾した。
その日から毎日、放課後にルミコは竹林の中でひたすら穴を掘るようになった。
穴はどんどん深くなりルミコの背丈をも越え、地底人が出てくるのではとアキラがワクワクするほど。
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