943 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/20(金) 12:26:14
風の杜夜話
風宮高王(たかお)は骨董品と花を売る店のオーナーで、ある特殊な能力を持つ。
それは骨董品(自分の家の蔵から出している)に宿る念と共鳴してしまい、
時にはその念の宿った時代へと精神だけタイムスリップしてしまうというもの。
また、共鳴しなくても時たまふいに精神タイムスリップを起こし、
同じ血の流れをくむ者、すなわち先祖の体に精神を宿してしまったりする。
(その間現代の体は原因不明の寝たきりという感じ しばらくすると戻る)
先祖の体に宿ってる間は、基本的に先祖の視点で物事を見れるだけで、
先祖の体を乗っ取って操ったりとかはできない。
これらは特に役立つ力ではないが、能力を持っている人は一族の土地と馴染みやすいとかで、
その代で一番力の強い者が当主になるのが慣わしで、高王は特に偉い事はしてないが一応当主。
先代当主は高王の父である若王だった。若王もまた、かなり強い力を持っていたらしい。
ある時、いつものようにどこかの時代に精神タイムスリップしてしまった高王。
いつもは見聞き程度の感覚しか得られないのだが、今回はいやに感覚がクリアで、
草で手を切ってしまった痛みさえ、まるで自分自身が傷ついたように感じられた。
それにいつもは自分が宿った先の『体』が勝手に動いたり歩いたりするのを感じるだけなのに、
体の主導権すらも高王の元にあり、不思議に思いながらも高王は元の時代に戻るまでの暇つぶしに
『体』がどこの時代の先祖なのかを知ろうと、うろうろと歩いてみる。
と、そこで美しい尼に出会った。話しているうちに、彼女が自分の先祖であると知る。
だがある疑問が浮かぶ。現代で見た事のある文献によると、
その時代、風宮の一族は戦に破れ、一人の姫君を残して滅ぼされかけたという。
結局はその姫君の子たちがまた一族を復興させたわけであり、その姫君=尼なのだろうが、
ならばこの『体』は誰なのか、他にも生き残りがいたのかと高王は不思議に思う(先祖にしか精神は宿れないから)
それにそもそも、生き残りの姫が尼ではどうして子孫を残せたのかとも。
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