【後味の悪い話】筒井康隆のショートショート

879 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/29(土) 18:00:23
たしか筒井康隆のショートショート。
体臭に悩む女性がいた。消臭剤や香水もあまり効き目がない。
それでも様々なものを試すうち、女性の体臭に劇的な効き目がある石鹸を見つける。
それは石鹸としてはやや高価だが、積年の苦しみから解放された彼女には安いもの。
その石鹸は彼女にとって救世主であり、なくてはならない品だった。

その会社は、石鹸の製造を中止しようとしていた。
その少々高価な石鹸は、特別な香料を使っていたが、月に十数個ほどしか売れず、採算が合わなかったのだ。

しばらくして、日本各地で十数人の女性が自殺した。
しかし彼女達は年齢もばらばらで面識もなく、その死に共通の理由があるとは誰も知りはしなかった。

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【後味の悪い話】筒井康隆「魚」

643 名前:1/2 :2008/10/17(金) 14:55:49
筒井康隆の「魚」
若夫婦と小学生の息子3人が、田舎の川に遊びにくる。
川に人気は無く、白砂のきれいな中州があったので親子はそこに入り、
寝転がったり付近を泳いでくる魚をつかまえるのに熱中し始める。
やがて3人とも大きな魚を捕獲し、ホテルで料理してもらおうとはしゃぐ。

ふと気づくと、最初は大人の膝下もなかった水位が、随分と上がっていた。
泳いでくる魚も大きなものが目立つようになった。怖がる妻。
よしじゃ帰るかと流れに足を踏み入れると結構早くなっている。水位は大人の股下ほどになっていた。
息子は魚を頭上に掲げ「早く歩いた方がいいよ」とさっさと岸まで渡ってしまう。
数歩踏み出したところで妻がよろけて魚を落とし、
夫は「しょうがねえな俺に掴まってろ」と言うが両手は魚を抱えたままで妻を支えようとはしなかった。
岸で息子が「なにしてるの」と眺めている。

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【後味の悪い話】筒井康隆の短編

458 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/14(火) 16:44:43
昔読んだ筒井康隆の短編。タイトルも詳細なストーリーも忘れた。
主人公の「ぼく」は、目に見えない透明の、美しい蝶を飼っている。
他の人には蝶の姿が見えず、誰もその存在すら知らないのだが、
ぼくだけは蝶がとても美しいことを知っている。

蝶はだんだんと大きくなっていく。
虫かごにも入らない大きさになったので部屋に放す。
やがて部屋にも入りきらないほどの大きさになったので
家の外に放してやった。

蝶はどこかへ飛び去ってしまうこともなく、
家より大きくなってもぼくの家の上を舞っている。

蝶はさらに大きくなっていき、ぼくの町を包み込むほどの大きさになり、
やがて東京の上空を覆いつくすほど大きくなった。
しかし相変わらずその体は透明で誰も蝶の存在を知らない。

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【後味の悪い話】筒井康隆「さなぎ」

364 名前:1/2 :2008/08/20(水) 18:22:56
ごめん、じゃあもうひとつ書いた 筒井康隆「さなぎ」
その時代には大人に逆らう若者を矯正する施設「疑似冬眠感化センター」
一般に「さなぎセンター」というものがあった。
大人が「この若者が反抗的だ」と警察に通報するとそのセンターに入れられ、
黒く固く顔を醜く反抗的に歪めた「さなぎ」状態で3年間睡眠矯正され、
出たときにはすっかり「大人」になっているというわけだ。

*****
今日また「おれ」の友達の勝也が親に反抗的な態度をとったとして警察に連れられてしまった。
出がけにくどくど同じことを言うのでつい口答えをしてしまったそうだ。
他の友達とセンターに着いたときには既に勝也は「さなぎ」になってガラスケースに入っていた。
側に両親らしい中年夫婦がいて、母親の方は泣いていたが、父親は虚勢を張って「これでいい」と怒鳴っていた。
そしておれ達の敵意のこもった視線を感じ「文句あるのか?」と問い、
おれは「やっぱりお父さんが決められたことですし、
勝也君はさなぎになって仕方なかったと思います」と答えるしか無かった。

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【後味の悪い話】筒井康隆「ウィークエンドシャッフル」

354 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/20(水) 16:04:16
筒井康隆「ウィークエンドシャッフル」
若くして都内近郊の戸建てに住む一流サラリーマンの家族(夫婦+幼児)。
ある週末に夫婦でのんびりしてるといつのまにか子供が消えてて、
夫が外に探しに出ているあいだに誘拐犯から電話がくる。
数百万を要求された妻は「家を建てたばかりでそんなお金ないです!」とパニくり
「そういえばこの家を建てるお金、夫はそんなに貯金してなかったはずだけど…」など考えているうちに
ショックで一時的に記憶喪失になり子供の存在を忘れてしまう。

妻が寝室でちょっと寝ていたら台所で音がし、見に行くと泥棒がいた。
「おれは誠実な泥棒だから乱暴はしない」と言う泥棒を無意識に誘惑しセックルしてしまう妻。
事後ぼーっとしていたらチャイムが鳴り、約束していた女学校時代の友達3人が来てしまった。
もうどうでもよくなり、泥棒を夫として紹介し、みなで酒を飲みパーティが始まる。
途中病院から電話が来て「お宅のご主人が道で事故って治療を受けています」と言われるが
「うちの主人はそこにいるわ」と電話を切る妻。
そのうち泥棒は女友達のひとりを誘って寝室でセックルを始めてしまう。

残った友達二人も寝てしまった頃、チャイムが鳴り夫の上司が訪ねてきた。
変に緊張している上司に酒を出しながら話を聞くと、なんと夫は会社の金を数百万誤摩化し、
しかもそれをその上司の指示だったように見せかけているという。

そしてまたチャイム、今度は刑事だった。
たまたま寝室から刑事が来たことを見ていた泥棒はパニくり、自らおれは泥棒だと明かし、
叫ぶ女友達を「うるさい!」と怒って殺す。その勢いで廊下に出たらたまたま目の前にた上司も殺す。
そこで刑事が家に入り泥棒を追いつめ、つい射殺してしまう。

刑事は近所で「金にならないから」と道ばたに放置されていた子供を保護してやってきたのだった。
そして子供を捜している間に事故って骨折し病院で治療を受けていた夫も帰ってきた。
親子3人、抱き合って無事を喜ぶ妻。
「夫の横領は上司のせいになるし、つい泥棒とセックルしたこともバレずにすむし、
 一番口の軽い友達は殺されちゃったし、上司の奥さんと泥棒の奥さんと友達の旦那さんは悲しむかもしれないけど
 私には関係ない、これでよかったのだわ」



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